ガーデン東新宿

ガーデン東新宿


日々の暮らしに、四季折々の舞台を添える

東京メトロ副都心線の開通により生まれた駅前の賑わいを抜けて、幹線道路から少し入った静かな環境に位置する、賃貸集合住宅のランドスケープデザインである。都心の利便性を高く享受しつつ、その喧騒から外れた自然を感じる場所とすることやシンプルで飽きのこない空間づくりが求められ、居住者の夜間帰宅に対応する必要もあった。

昼と夜とで表情を変化させつつ、印象深いものにする。また、自然を日常の生活に寄り添わせる。この場面転換と人の生活と共にある状況を共生させるには、自然の要素を使い、個性が豊かな舞台のような場所が必要なのだと考え、大きく3つの場所において、日々の暮らしの中で四季折々の自然の気配を感じることができる場を提供することを目指した。

前面道路から充分な引きを確保することで生まれたエントランスエリアは、端正な石の床と、質感ある建築ファサードを背景に、ヤマボウシの樹形とその影が印象的な場所とした。また、敷地両角には存在感のあるシラカシの大木を配し、周辺の緑と連続させ、舞台の袖空間として見えるように配置した。

エントランスを抜けると長さ20mの2層吹き抜けアプローチ空間がつづく。全居住者を迎えるアプローチの先には、人々の期待感を高め、印象に残るしつらえが求められた。積層する質感のある背景を構成することで圧迫感を軽減し、繊細な姫孟宗竹や白大理石のオブジェの重なりによって、空間に奥行きをもたせている。壇上に組み込まれた黒石のオブジェは、風にそよぐ竹や青空に浮かぶ雲など周囲の風景を映すことで視線を上空へと誘い、パティオへの繋がりを感じさせる。夜間は間接照明の照度を高め、回廊と一体的な場所となるようにした。

光庭脇の階段を抜けると、パティオ全体に季節感を与える1本のイロハモミジと、折り重なる細かな段差により緩やかな領域感を持つ舞台がある。その背後に配した白壁は、周辺の緑地環境を区切りながらも、風景として取り込み、パティオ全体の背景ともなり、喧騒から離れ、落ち着いて佇むことができる環境を創出している。更に、光庭からパティオへと人々を誘う2列のシラカシ並木は、居住空間(シングル住戸)とパティオを緩やかに区分する緑の境界でもある。シラカシ並木からパティオを望むと、イロハモミジと佇む人の姿が白壁に映え、安らぎと心地よい緊張感を持つ“第2のリビング”となっている。

基本情報

名称:ガーデン東新宿
所在地:東京都新宿区新宿
敷地面積:2,447m2
外構面積:1,234m2
竣工:2012.2
デザイナー:忽那裕樹、山田匡、平山友子(元所員)