上本町YUFURA/日本造園学会奨励賞

上本町YUFURA/日本造園学会奨励賞


“うつろい”を顕在化した、街の顔となる広場

新歌舞伎座と39店のショップ、オフィスからなる複合商業施設のランドスケープデザインである。駅前広場、商業前のサンクンガーデン、新歌舞伎座の屋上庭園を主とする。近鉄上本町駅前という街の玄関口に位置し、多様な利用者が交差する場所であるため、街の資産となる商業施設の顔を持たせつつ、駅とつながるスムーズな通行動線を確保する事が課題であった。そこで、相反しがちなこれらを「パッチワーク型」のデザイン手法により、両立する事を試みた。

まず始めに、多様な利用者の動線パターンを解析し、「歩行空間」「景観のポイント」「溜まりとなる空白」を導き出した。次に、整理された空間をパッチワーク状につなぎ合わせることで浮かび上がった広場に、“うつろい”という表情をあたえ、季節、時間、活動を顕在化させる質を持たせた。

 

具体的には、敷地全体にウメを植栽し、早春の名所(梅林)となるような“季節のうつろい”を創出している。広場中央の地上1階から地下1階へと落ちる壁泉は“時間のうつろい”を感じさせる。また、イベントや展示などのスペースとなり、人々の“活動のうつろい”を際立たせる場所もある。ここには、照明ポール、電源といった、活動に必要な機能を備えている。
これらの“うつろい”の場所が、敷地全体に点在しながら相互に関連性をもつ事で、統一されたオープンスペースを創出している。また、仕上げ材料についても、白御影石、レンガ等の耐久性がある自然素材を細やかにしつらえ、エイジングにより深みを増していく広場になっていくことも期待している。

 

本計画地のように、多目的に人が関わる、公共空間では、街の資産となること、長期間に渡り人々に愛され続ける広場となることが重要である。“うつろい”という変化し続ける表情により、人々が無意識に心地よさを感じ、何度でも立ち寄りたくなる場所を創出していくことが大切だと考えている。

基本情報

名称:上本町YUFURA
所在地:大阪府大阪市天王寺区
敷地面積:5,500㎡
外構面積:3,600㎡
竣工:2010.08
デザイナー:長濵伸貴、角田直行(元所員)

2014年度日本造園学会奨励賞(設計作品部門)