上野芝レジデンス

上野芝レジデンス

折り重なる緑に、人の関わるしつらえをしのばせた「庭園美術館」

上野芝レジデンスは、百舌鳥古墳群が点在する、上町台地の南端にあたる高台に計画された集合住宅である。ここでは、集合住宅と邸宅群のスケールをつなぐ事、豊かな緑環境と連続する事、地域のために開かれた広場を形成する事がランドスケープに求められた。そこで、まず、できる限り緑の環境と共にある、エントランスやロータリー、駐車場を計画することを考え、生活に近い場所に四季のうつろいが挿入される計画とした。また、建築のヴォリュームから、邸宅街に対して徐々に小さなスケールとする工夫を行い、提供公園と住宅の広場を一体的に管理する仕組みとデザインも提案した。

集合住宅全体を「庭園美術館」と銘打ち、生活動線の中に、自然の要素自体を美術作品に見立てた象徴的な庭園を設け、日々の何気ないひと時に、季節の移ろいや自然現象の美しさを再認識できる空間づくりを試みている。その代表に、地域に開いた邸宅の正面玄関としての庭「フォーシーズンズステージ」、エントランスホールから連続するプライベート庭園「ネイチャーアートギャラリー」がある。

フォーシーズンズステージは、エゴノキの並木、芝生など常に変化し続ける自然と、白御影石や燻レンガ等の静かな佇まいの舗装による、織物のような折り重なりが美しい広場である。隣接する提供公園にも並木や芝生を連続させることで東西方向への広がりを持たせ、街全体の資産ともなるような、小さなスケールの集まりが、おおらかな空間となるようにした。また、建物側へ上がる3%の傾斜は、エントランスまでの期待感を高める効果と、この場所独自の領域感を生み出している。

ネイチャーアートギャラリーは、床面全体を水面に見立て、奥行感のある庭園とした。白御影石と白川砂利洗い出しの床の上に、イロハモミジやソヨゴ等を群植した島状の盛土、室内外をつなぐ花崗岩の景石、庭園の背景となる光のオブジェを設けている。住棟に囲まれた、駐車場上部にある屋上庭園という条件下にありながら、季節の移ろいだけでなく、刻々と移動する木立の陰、風に揺れる葉、夕闇に浮かび上がる光の柱など、自然現象を美しく見せるしつらえとした。

落ち着きある庭園を暮らしの中心に抱き、その特徴ある場所で人それぞれが思いのままに憩い、愉しむことができる。ここで過ごす人々の姿が美しい絵画のように見える、幾通りものシーンが生み出されることを願っている。

基本情報

名称:上野芝レジデンス
所在地:大阪府堺市西区上野芝町
敷地面積:10,300㎡
外構面積:5,900㎡
総戸数:270戸
竣工:2010.3
デザイナー:忽那裕樹、山田匡、角田直行(元所員)