千里リハビリテーション病院/GOOD DESIGN賞他

千里リハビリテーション病院/GOOD DESIGN賞他

使いこなしていく場所を目指して

本病院は、千里ニュータウンの北端、保存緑地が周辺に広がる丘陵地に位置する。脳卒中患者の回復期リハビリテーションに特化した医療施設であり、入院患者の早期社会復帰を目標としている。

ここでは、“気づきの医療”という施設全体の理念をいかに解釈して形にするかが重要であった。そのため、ランドスケープでは、デザインとプログラムの両立をコンセプトとし、豊かな自然環境と連続した緑を形成するとともに、眺めて美しい風景の中に、関わって楽しいリハビリのプログラムを潜ませた。例えば、1階の外部空間に設置された円形の石は、ベンチになり、それを伝って歩くための補助具にもなる。一方で、中庭にランダムに並べた歪な形の石は、石と石の間の距離を100~1500mmと様々な寸法に設定する事で、立つ、座るというリハビリができる他にも通り抜けることができる幅が回復状況を測る指標にもなる。こうした場所により、ランドスケープをリハビリ装置として機能させ、点在する小さな外部空間がネットワークすることで、使いこなしの幅を広げ、立体回遊性のある多様な場所を獲得している。「人それぞれに、人それぞれのリハビリがある」という病院の理念に基づき、ここでの環境すべてがリハビリにつながるように計画したのである。

また、自然を使いこなすために、園芸療法による屋外環境でのプログラムも試みている。畑を耕す事や散歩する事がその一つである。ここでは、患者と共に語りながら、それぞれに合ったプログラムを考える事ができる。患者にとって、自然環境と関わることが楽しみに繋がるような空間となっているのである。

患者や医療スタッフ、ボランティア、視察者、回復した人や、地域の人々までが、場所を使いこなしていきながら、患者それぞれに合ったリハビリプログラムが行える環境に育っていくことを願っている。現在、我々設計者も引き続き関わりながら、その環境づくりを試みているところである。

基本情報

名称:千里リハビリテーション病院
所在地:大阪府箕面市小野原西
敷地面積:3,700㎡
外構面積:2,500㎡
竣工:2007.10
受賞歴:2008年度GOOD DESIGN賞、第9回屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール屋上緑化部門審査委員会特別賞、
デザイナー:忽那裕樹、山田匡、角田直行(元所員)