太原万科朗潤園販売センター

太原万科朗潤園販売センター

いくつもの庭が連なる回遊式庭園

山西省太原市の住宅地開発に伴う販売センターのランドスケープデザイン。訪れる人々が憧れを抱くことができる、新しい住環境を提案することが課題であった。販売センターの敷地全体が水景を中心としたひとつの回遊式庭園となる環境をつくり出し、モデル建築が緑を背景にして水景に映り込む事で、建築が添景として美しく見える設えとした。また、地域の歴史建造物である山西大院(※)の空間構成をモチーフに、見え隠れする大小様々な場所を訪れる人々が思い思いのルートで巡り、楽しみを発見できる空間とした。

 

販売センターは住戸の販売や商談を行うためのメイン建築と、モデルルームを展示する4つのモデル建築からなり、訪れる人々は初めにメイン建築へと入ることになる。メイン建築へのアプローチには、高さ約2メートルのウォールを配置し、山西大院の城壁のように敷地内外の領域を明確に分けることで、その奥に広がる風景への期待感を高める設えとしている。敷地内に入ると、水盤とその上を渡るアプローチ、島状の植栽地で構成された前庭に出会う。アプローチの形状を雁行させることで、行と帰りで異なった空間体験をすることを可能にした。

 

メイン建築のもう一つの出入口は、モデル建築が建つ外部空間へとつながる。建築を出てすぐに各種販売イベントに対応可能な広がりのあるデッキテラスを設え、その奥に伸びやかな曲線を持つ池を設けている。ここでは、モデル建築と緑に囲まれた池の広がりのあるスケール感を大切にした空間づくりを心掛けた。池の縁に植栽された、高さ10mを超える2本のヤナギが力強い風景を演出するとともに、繊細な枝葉が静かな水面に映り込む姿が、洗練された雰囲気をつくり出している。デッキテラスの水際には、天板に水が流れる低い間仕切りウォールとテーブルセットを配置。緩やかに領域を分かつことで、空間の広がりを妨げることなく商談や談話に活用できるアウトドアリビングとした。

 

池を中心に配置された4つのモデル建築をつなぐ園路は、直線的な構成としている。園路沿いに配されたウォールや植栽等と合わせて視線を正面に固定することで、園路を曲がったとたんに視界が開け奥を見渡すことができる視覚的効果を持たせている。また、4つのモデル建築を巡る道行には、湧水や水盤、落水等の異なる表情を見せる水景や、芝と草花の広場、ナラやエンジュ等の郷土種の森、シラカバの木立に囲まれたテラス空間等の特徴的な庭を設けた。更に、随所に中国人アーティストによるアート作品を展示し、回遊する楽しみと新しい街に対する期待感を演出している。

 

※山西大院(王家大院):城壁に囲まれた大邸宅。敷地内に複数の建築が立ち並び、ひとつの村のようになっている。

基本情報

名称:太原万科朗潤園販売センター
所在地:中華人民共和国山西省太原市
敷地面積:8,000㎡
外構面積:6,400㎡
竣工:2012.6
デザイナー:忽那裕樹、山田匡、角田直行(元所員)、石原康宏