近畿大学 「洗心の庭」/造園学会設計作品奨励賞

近畿大学 「洗心の庭」/造園学会設計作品奨励賞


学生生活を彩る芝生の舞台

大学キャンパスにおける、中庭のリニューアルプロジェクト。大学キャンパスイメージを良質な物にしたいという大学側の強い思いを受け、緑の美しい環境を創り出すことと、学生たちが様々なスタイルで活動し、その姿が魅力的に見えることを大切にしたいと考えた。
近畿大学ではキャンパス環境を『近大の杜』として様々な樹木を植栽してきており、今では建築を越える高さにまで達しているものも少なくない。それらをできる限り引き継ぎ、取り囲む校舎と合わせて「環境の器」とし、学生が集う舞台として芝生の空間を滑り込ませた。

 

講義室や図書館、食堂、店舗等に囲まれ、事務室や応接室にも面したこの中庭は、昼休みの食事や休憩をはじめ、学生や来訪者が行き交う場所である。そこで、彼らが中庭を利用する「きっかけ」が必要であると考えた。建築に囲まれた中庭という植物の生育には難しい点を解決しつつ、利用のきっかけとして、思い思いに座ることができる場所を多く設けている。

 

既存樹木としてクスノキ、ケヤキ、スダジイ、キンモクセがあり、それらの地盤は同じ高さではないため、アールを持った石積みウォールを差し込むことで、高さを調整すると同時に多様な座り方と集い方を提供している。素材には、雲竜木端という粘板岩を使い、積み上げることで質感のある特徴的な印象を持たせ、端部と天端を花崗岩のフレームにおさめることで、座ったり寝転んだりすることができる場所となっている。また、芝生の広場を支える白い基壇は、通路と中庭との高低差を調整するとともに、歩く人を眺めながら座る場所としても学生たちに利用されている。

 

完成後も植栽管理等を通して、少しずつ更新していくことを試みている。大学の行事に合わせて四季折々の草花を提供するプログラムを提案するなど、デザインだけではない多様な関わりを持ち続けている。

基本情報

名称:近畿大学本部キャンパス「洗心の庭」
所在地:大阪府東大阪市
敷地面積:26,00㎡
竣工:2007.11
受賞歴:平成22年度造園学会設計作品奨励賞
デザイナー:忽那裕樹、山田匡、小野光則(元所員)